【Vol.2】水素吸入を併用したがん治療「よろずメソッド」とは
2023-02-20
「全てのがん患者の方に水素を使用しています」
水素ガス吸入機を活用する医師や研究者にお話しをお伺いする「ドクターズインタビュー」。
第2回は、鳥取県で全国のがん患者さんから相談を受ける、よろずクリニックの萬憲彰院長にインタビューをしました。(取材日2021年4月)
ドクタープロフィール
よろずクリニック
萬憲彰 院長
NPO法人 統合医学健康増進会 代表理事
国際水素医科学研究会 副理事長
日本先制臨床医学会 理事
標準治療と標準外治療の良い所取りを目指し、患者さんが最も苦痛なく、副作用や苦しいことがなくて、一番良い結果が出るような治療法を組み合わせ構築する「統合腫瘍治療」を掲げ、よろずメソッドを確立。自身初となる著書「希望のがん治療」も出版されます。
ドクターズインタビュー
その統合腫瘍治療の中で水素ガス吸入療法はどのような役割・ポジションになりますか?
僕は全てのがん患者の方に水素を使用しています。まず標準治療を受けるときに一番怖がるのが、「手術をした後に自分がどうなっちゃうのか」とか、「抗がん剤によって副作用が強く出るんじゃないか」とか、そういう体調を悪くするんじゃないかっていうところに、まず水素が働きかけてくれてます。これからエビデンスの構築が必要なんですが、動物実験やある程度の臨床試験で、水素ガスによって抗がん剤の副作用の軽減や、放射線治療の副作用の軽減、今後はもっと術後の回復を早めてくれたり、そういう患者さんにとってメリットのある作用を、水素ガスは持っているんですね。また、皆さんが怖がったり嫌がったりするところを、水素によって少しでも緩和をしていくことで、前向きに治療に望んでもらえるのが重要かと思っています。
もう1つはですね、僕は転移再発抑制もできるんじゃないかと思ってます。例えば、術後の方だったり、既に転移している人は、これ以上新たな転移層を作らないために、水素の作用が期待できる。更には、赤木先生がおっしゃっているキラーT細胞に対して水素ガスがミトコンドリアを活性化して、免疫力を高めると、免疫力チェックポイントを解除するような免疫学的な効果も期待できるのです。その中でデメリットが水素に関してはないと思っていますので、使わないことがあり得ないという位置付けです。
クリニックで、水素吸入を患者さんにどのように提供されていますか?
院内においては、水素吸入機の大容量タイプを3台と中容量タイプを1台導入しています。多くは月額制のパスポートを購入されて、ほぼ毎日、1日1時間くらいゆっくり寛ぎながら吸入していただけるよう半個室スペースの環境を整えています。現在、月間パス会員は40人程いますので、予約を取るのが大変になってきていますね。
吸入している年齢層はどうですか?
例えば、アトピーの2~3歳の小さな子どもや、若い元気な方だったり、抗がん剤治療中の70代、80代の年配の方など、幅広い年齢の方が利用されています。
院内以外では、どのような活用をされていますか?
県外のがん患者さんが多いのですが、そういった場合は、オンライン診療でご説明をして、レンタルのご利用をしていただいています。例えば、3~6か月、または、12か月のレンタルをしていただいて、ご自宅で制限なく1日3~10時間くらい沢山吸入していただいています。自宅にあれば患者本人だけでなくご家族で吸入していただけるので、ぜひ皆さんで吸って下さいと勧めています。
実際に吸入される方は、がんの患者さんが多いと思いますが、治療目的以外で吸入される方はいらっしゃいますか?
そうですね。印象的なのは、消防士さんですね。勤務時間が長くて、体力的の消耗されるお仕事なので、リカバリーに来られますね。あとは、美容やアンチエイジングを目指して、定期的にこられる方もいます。また急速な回復を目指して、ビタミンC点滴での効果と水素ならではの体内の組織内に入りやすい浸透性を活かして、血管内と吸入を同時に行うことで、非常に体感がいいと評判です。当院では「ビタ水素」という名前でやっています。
県外の患者様も多く、遠隔の診察や相談をされていると伺っておりますが、どのくらいの頻度でされていますか?
最初は週一回でしたが、最近は、ほぼ毎日しております。
保険診療もされていると思いますが、先生お一人で対応されるのは時間的にも難しくなってきていませんか?
今までは、診療後や休憩時間に押し込んで対応していましたが、4月より後輩でもあるドクターが右腕となってくれていますので、現状では、外来を二人で回しながら、遠隔診療や相談の対応が毎日できるようになりました。また、その後輩ドクターが大阪に分院を出す予定です。大阪と鳥取とで分担しながら多くの患者さんに対応できるようにしていきます。
今後は同じような志をもった同志のドクターと協力体制を築きながら、色んな地域の方がお近くで良い治療が受けられるような構築をしていかなければならないと思っております。
今回、初の出版をされますが、どのような内容となっていますか?
こちらは、統合腫瘍治療のバイブル本です。多くのがん治療相談を受けますが、その中で皆さんが困っている事が集約されてきています。実際に皆さんがこういう事で困っている、治療を迷われているという同じご相談が、とても多いですね。例えば、ご自身やご家族が癌になられた場合、慌てて情報収集をインターネットや本でされると思いますが、一体何をしたらいいのか、どれから手を付けたらいいのかわからないというような悩みを抱えています。当院は遺伝子治療専門とか免疫治療専門というような専門クリニックではないので、どんな治療でも幅広く取り扱ってきました。様々ある治療法から、患者さんの状態に合わせて選択しますので、治療効果は上がっていきました。もちろん標準治療も踏まえた上で、こういうタイプにはこういう治療が良いというようなフローチャートのようなものが出来てきたんですね。
本の中では予防のこと、検査のこと、普通では教えてくれないような検査法や治療法を、Q&Aでお答えもしています。おそらく、これ一冊あれば患者さん本人はもちろん、ご家族としてもある程度良い対処法がご自身で考えられるという事を目指して、持てる知識を全て詰め込んだ本になります。
ちなみに本のタイトルは?
「希望のがん治療」です。僕自身は、メキシコのティファナにあるHOPE for CANCER CLINICを非常にリスペクトしていまして、「希望を感じる = hope for cancer」という事になりました。
先生やご家族の皆さんは、どのようなタイミングで吸入されていますか?
寝る時に家族で取り合いですね。実は、実際に吸入機が真横にあると少しボタンの光や音が気になるものですが、そんなことを思う間もなく、直ぐに眠りに落ちますね。気が付くと朝が来ていて、翌朝の疲れの抜け具合が全然違いますね。1時間よりも2時間。長時間の方がより体感が増しますね。妻もしっかり吸っています。
萬院長、ありがとうございました!
クリニックデータ
よろずクリニック
住所:鳥取県鳥取市美萩野1丁目118-4 GoogleMap
診療時間:午前9:00~12:00 午後15:00~18:00
休診日:日曜・祝日