Dr.Shiggekkyの水素問答 <その5>高血圧にいいの?
2025-12-16

~Preface~
水素の疑問質問に回答くださいますのは、
ある時はミトコンドリアマン®、
自称・異端の医療研究者 Dr.Shiggekky※です。
(※一般的称号:聚楽内科クリニック院長・医学博士 武本重毅先生)
<その5>
「高血圧」をなんとかしなければと思っている方(50代男性)が、
ご友人から「高排出量の水素吸入」を勧められたそうです。
どうなんでしょうか?
Dr.Shiggekkyの回答
水素は“血管の休息”をもたらす分子です。
急激な降圧を狙うのではなく、体の中のサビと炎症をやさしく整える――。
水素吸入がどのように働くのか、具体的に解説していきます。
水素は「高血圧」にどう作用するのか?
― 血管をやさしく守る“抗酸化ガス”のチカラ ―
Dr. Shiggekky(聚楽内科クリニック院長・医学博士 武本重毅)
1.高血圧の背景にある「血管のさび」
血圧が上がるのは、心臓が強く押し出しているからではなく、血管の柔軟性が失われ
ているからです。
この血管の硬さをもたらす大きな原因が「酸化ストレス」。つまり、体内の“サビ”です。
私たちの体では、酸素を使ってエネルギーを作る際に「活性酸素(ROS)」が発生します。
本来は免疫や代謝に欠かせない分子ですが、加齢やストレス、糖・脂質の代謝異常が重なると
増えすぎて、血管の内側を傷つけてしまいます。
これが血管を硬くし、血圧を上げる要因になります。
2.水素の働き:悪玉活性酸素だけを消す
“選択的抗酸化”
水素(H₂)は、他の抗酸化物質と違い、体に必要な活性酸素は残したまま、
悪玉(ヒドロキシルラジカル・ペルオキシナイトライト)だけを中和するという
特異な性質を持っています。
ノルウェー・オスロ大学の総説によると、水素は
「血流中のヘモグロビンに結合せず、毒性がなく、体内のあらゆる場所へ拡散しやすい」
と報告されています。
そのため、吸入によって肺から取り込まれた水素は、数分で全身の血管・脳・腎臓・
心臓へと届き、血管内皮やミトコンドリアの酸化ストレスを和らげることが確認されています。
3.ヒトでの臨床試験:2 週間の吸入で血圧が下がる
2022 年、中国山東省の医科大学グループが行った無作為化二重盲検試験
(Frontiers in Pharmacology 誌)では、50〜70 歳の高血圧患者60 名を対象に、
以下の条件で比較を行いました。
夜間の拡張期血圧:−2.7 mmHg
さらに、アンジオテンシンⅡ・アルドステロン・コルチゾールが有意に低下。
年齢が高い群ほど効果が大きく、「ホルモン性高血圧(RAAS 系の過剰活性)」を鎮
める作用が示されました。
●水素吸入群:66%H₂ + 33%O₂ 混合ガスを1 日4 時間×2 週間
●対照群:通常空気を吸入
結果として、
●右腕収縮期血圧:151.9 → 147.1 mmHg(−4.8 mmHg)
●左腕収縮期血圧:150.7 → 145.7 mmHg(−5.0 mmHg)
●夜間の拡張期血圧:−2.7 mmHg
さらに、アンジオテンシンⅡ・アルドステロン・コルチゾールが有意に低下。
年齢が高い群ほど効果が大きく、「ホルモン性高血圧(RAAS 系の過剰活性)」を
鎮める作用が示されました。
4.血管とミトコンドリアへの影響:酸化ストレスを鎮める
昭和大学の2024 年研究では、健康成人に高濃度水素ガスを吸入させると、
下肢の血流速度が有意に上昇(p=0.02)し、末梢血管の柔軟性が回復することが報
告されています。
また、透析患者を対象とした山梨大学グループの研究では、
水素吸入によってCRP(炎症マーカー)と酸化ストレス(d-ROMs 値)が低下し、透析
後の疲労感の軽減も観察されています。
腎臓に関しても、2025 年に報告された大阪大学グループの研究(Biochem Biophys
Res Commun誌)では、
「シリコン由来の水素発生剤を経口投与」したマウスで、腎線維化や酸化ストレス、補
体活性(C3)が抑制されることが確認されました。
これは「腎臓からのRAAS暴走」を抑える可能性を示すものであり、
高血圧の根源的メカニズムにまでアプローチしている点で注目されています。
5.水素とミトコンドリア:老化と生活習慣病の共通基盤
水素は単なる抗酸化物質ではなく、ミトコンドリアを守る分子でもあります。
2023 年に日本の医師研究チームが発表した総説(Biomedicines 誌)では、
糖尿病性腎症を中心に、水素がミトコンドリア機能を保ち、炎症・酸化ストレスを同時
に改善することが報告されました。
ミトコンドリアは血管内皮細胞のエネルギー源でもあり、ここが衰えると血圧調整能力
が下がります。
水素吸入はその「根本のエネルギー代謝」を助けることが、多数の基礎研究で裏づけ
られています。
6.安全性:世界81 件の臨床試験で重大副作用なし
オスロ大学による包括的レビュー(Molecules 2023)では、
世界で確認された81 件の臨床試験と64 件のヒト研究を解析した結果、
「水素吸入、飲用水、静注など、いずれの方法でも重大な副作用報告はなし」
と結論づけています。
実際に、深海潜水士は49〜56%という高濃度水素を長時間吸入しても安全であること
が知られており、医療領域で用いる1〜4%濃度は、十分に安全域内です。
7.まとめ:高血圧への“やさしいサポート療法”
これらの研究から見えてくるのは、
水素吸入は「薬のように強制的に血圧を下げる」のではなく、
●血管の炎症と酸化ストレスを抑える
●自律神経とホルモンバランスを整える
●ミトコンドリアを守り、血管をしなやかに保つ
といった全身の恒常性を回復させる自然なアプローチであるということです。
そんな“再生の呼吸”としての水素吸入を、日常の健康維持に取り入れてみませんか。

(監修:聚楽内科クリニック 院長 武本重毅)
※本記事は医療情報の提供を目的としたものであり、特定の疾病の治療や効果を保証
するものではありません。
水素吸入は医薬品ではなく、健康維持・体調サポートのためのウェルネスケアとして
ご活用ください。

